住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」
第7回 恐るべし町家衆
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近ごろはボランティアが大はやりであるが、今昔館にも
町家衆は、江戸時代の町並み(大坂町三丁目)の中で、町家の案内はもちろんのこと、南京玉すだれ、けん玉の実演、おじゃみ(お手玉)づくり、和服の着付けなど、心をこめたもてなしをしてくれる。和服に着替えた来館者も、この町の住人になりきってコマ回しや折り紙に興じる。見るだけの博物館ではなく、みんなが楽しむことで、自然に町の賑わいが生まれている。
他館が真似のできないボランティア活動が、企画展「ディスカバリー……こんな天満みつけまし展」の主催である。天満15、は今昔館の地元。日本一長い天神橋筋商店街16と庶民的な人情が健在で、日本三大祭のひとつである天神祭17はこの地域を氏子としている。この天満地域の「お宝」を発掘して、展覧会にしようという企画である。
出品交渉は、営業経験のある町家衆が戦略を練った。彼らは、『大阪商工名鑑18』から老舗のリストを作成し、数ヶ月をかけて天神橋筋商店街の店を1軒1軒訪ね歩いた。その数は155軒、そのうち29軒から貴重な資料を借用することができた。私は、展覧会への出品交渉は営業活動と同じであるということを学んだ。私も含めて学芸員が資料調査を行っても、こんなに粘り強く訪問ができたものだろうかと思う。
天満展には14,000人以上の入館者があり、学芸員企画の展覧会より集客力があった。これは、地元に根ざした出品交渉が功を奏したからではないかと思う。「恐るべし町家衆」である。
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脚注
- 天満(てんま) 上町台地の大川を隔てた北の地域。江戸時代には大坂三郷の一つ天満組の地。天満宮(現在の大阪天満宮)、天満青物市場などがあった。
- 天神橋筋商店街(てんじんばしすじしょうてんがい) 天神橋筋は大阪市の北区を南北に縦断する街路で、南は淀川に架かる天神橋の北詰から、北は新淀川の長柄橋南詰まで、南北約3キロメートルの町筋。東側は天神橋1~8丁目、西側は南森、末広、扇町などの町に区画される。天神橋筋商店街は天神橋筋南端の天神橋1丁目から北の同6丁目(通称「天六」)まで続いており、日本一長い商店街といわれる。江戸時代を中心に繁栄した天満青物市場の伝統を継ぐとされる。大阪くらしの今昔館は、同商店街の北端、天六にある。
- 天神祭(てんじんまつり) 大阪天満宮、通称天満(てんま)の天神さんの夏大祭。7月24日の宵宮には、お旅所を決める鉾流神事、25日の本宮には陸渡御、船渡御などが行われる。船渡御では、御鳳輦をのせた奉安船と、それに従う供奉船、そして市民がのった奉拝船が大川を往復する。
- 大阪商工名鑑(おおさかしょうこうめいかん) 大阪商工会議所が編集・発行。大阪市内に事業所を置く企業の資本金・従業員数などを記載。「創業年」も記されている。

